カフェを寺のようにした「寺カフェ」という話は聞いたことがあるが、由緒ある正真正銘の寺の本堂の一角にカフェを設置したのは恐らくこの寳勝寺が最初ではなかろうか。

寳勝寺は江戸時代初期、加賀藩第三代藩主・前田利常公が創建した臨済宗のお寺である。
本堂にカフェを設置するなんて、伝統としきたりの仏教界にあってよくも思い切ったことをしたものだと思う。反対意見や眉をひそめる向きもあったはずだ。

寳勝寺の住職とはご縁があって何度かお目にかからせてもらったことがあるが、この住職をひと言で表現するならば、信念の人だと思う。
住職によると、寺というものは、インドでも元々、人々が気軽に立ち寄り、お茶を飲んだりしながらワイワイお喋りする場所なのだそうだ。寺子屋という言葉があるように、昔はどこの寺でも大人が子供に勉強を教える場所として使われていた。

寺カフェを開設したのには、そんな寺本来の姿に戻したいという想いと、昨今の寺離れに対する懸念も込められていたようだ。
だが現状は寺離れなんてレベルのものじゃない。全国には7万7000にも及ぶ寺院が存在するそうだが、そのうちの2万カ寺以上は住職がいない無住寺院だそうだ。少子高齢化と人口減少という深刻な社会問題の中で、寺院は消滅期の危機に瀕しているのである。

そうした客観的な現実を理解すれば、この住職が復古主義者であり、気骨ある大改革者なのだということが誰にでも分るはずだ。

寳勝寺の本堂は数百年前の建築を可能な限り維持してきたそうだ。もともと禅宗だから静かにお茶を飲んでいるだけでも瞑想しているような気になるから不思議だ。

飲食のメニューは一般的なカフェと比べてもむしろ安いくらい。お客さんは観光客が多いようだが、本当は地元の人こそが行くべき寺カフェだと思う。

【おしながき】

~お飲みもの~

・抹茶 金粉入り(hot or ice)   500円
・加賀棒茶 (hot or ice)  500円
・甘酒 生姜と蕎麦ぼうろ添え 600円
・コーヒー (hot or ice) 400円
・カプチーノ (hot)500円
・カフェラテ(hot or ice) 500円
・キャラメルラテ(hot or ice) 500円
・ヘーゼルナッツラテ(hot or ice) 500円
・モカラテ(hot or ice) 500円
・ミントラテ(hot or ice)500円

紅茶 (hot or ice)
・ロイヤルブレンド 400円
・ダージリン 400円
・アールグレイ 400円
・ジャスミン 400円
・カモミール 400円
・アップル 400円
・コーラ   300円
・クリームソーダ 金粉入り 400円
・マンゴージュース 400円
・果汁百%ジュース オレンジorアップル 300円

~和菓子 金粉入り ~
・生菓子  500円
・三種盛り合わせ(生菓子・生落雁・干菓子)600円

~甘味~
・クリームあんみつ 金粉入り (黒みつかけ) 700円
・ぜんざい 金粉入り(hot or ice)(焼餅・昆布・お茶付) 800円
・白玉ぜんざい 金粉入り(hot or ice)(白玉・昆布・お茶付)800円

~軽食~
・カレーライス  800円
(牛肉とマッシュルーム、プチサラダ、福神漬)
・炒飯      700円
・焼きおにぎり茶漬け 800円

午前10時~午後4時まで
定休日:火曜日 他

寺カフェ
金沢市寺町5丁目5番地76号 宝勝寺内
電話:076-287-3870
営業時間:午前10時~午後4時まで
定休日:火曜日
(※法要などが入ると営業していない場合もあり)